休みの日に読んでいろいろとモヤモヤした「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」
働き方とか自己啓発本の類のものもそれなりに読んだりしますが、余りにもキラキラしすぎたことを言っていて響かないなというものもあります。
経済雑誌で取り上げられてる著者のインタビューがいいなと思い図書館で著者の本数冊借りたらコピペした内容だったということもありますし。
そんな中、土日に読んで月曜をなんともいえないモヤモヤした感じで迎えるきっかけとなったのが、ムダで無意味な仕事が増えていくからやりがいなくしていくことが多いのは、ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)のせいだと説いた「ブルシット・ジョブ」です。
著者のデヴィッド・グレーバーは文化人類学者・アクティヴィストで2011年のウォール街を占拠せよ運動では指導的な役割を果たした人物です。本が出た2か月後に亡くなっているようです。
本の中でもアナキストと自分で言っていて、官僚制や政府機構が大きくなるの反対、介入するなというのが根底にあるかなと思いますね(クリントンもオバマもトランプも批判)。
ちなみに訳者を検索すると人民新聞なるもののインタビュー記事が出てきて人民新聞とはなんぞやと調べていくと・・・・う~んとなります。
個人的にブルシットジョブに関してはなるほどなと思うのはあるものの、なんかモヤモヤした感じが残るんですね。
「ブルシットジョブ(クソどうでもいい仕事)」が増えているという世界的な傾向について問題提起しているのは悪くないが・・
自分が生まれてある程度周りを把握した小学校入学から30年以上、作業全般は格段に「楽」になり、あらゆる作業にかかる手間と時間は短縮された。
その多くは技術革新が大きいのですけど、そのおかげで早く帰れるようになったとか、週休4日になったという話はいっこうに聞かない。
ということはそのぶん仕事の量を増やしていると仮定するとさらにおかしなことがわかる。
仕事が効率化されて生まれた時間に別の仕事を入れれば売り上げが増えて国全体では経済成長率が高まるはずなのに、そうはなっていない。
それはブルシット・ジョブの創出と維持のためだという概念の着眼点はいいと思いますし、面白いところは面白いんですよ。実際その通りですし。
ケインズが1日3時間労働を構想して100年近くで逆にPCやインターネットが発展してなんでこんなに残業してんだ?となります。
その意味で多様な職種の証言を集めることが大変な中、ここまで証言を集めたのは素晴らしいんですが、抽象的で理論になっておらず、データがものすごく少ない。そもそもメールやtwitterで集めてるので信憑性的に本当かというのもあります。
「社会的意義の高い仕事ほど収入は低い、すなわち仕事の社会的な重要性と、それによって得られる収入は反比例する」というのは、本人が研究資金獲得のためにくだらない企画説明文書を作ることなどにウンザリしていたので、こういう方向になりがちなのでしょう。
まぁ、わたしがこれまで仕事で経験した中でも、やたら介入して仕事をしっちゃかめっちゃかにする輩、コネで転職しまくってるけどYOUは毎回なんのためにいるの?という人など、これまでの業務でいろいろと思い当たる節もあります。
自分の会社でもなんで1回申請した後、今度は3段階承認の申請が必要なんだ(2段階目から承認するだけ)?というのもあります。
とはいえそういう職種がなくなった場合に、グループとかチームだけ回すようになって上司が存在しなくなったとして(実際テレワークで上司なしで回している仕事はありますし)、誰が責任とんのかとかそういうところがすっぽり抜け落ちてるのでなんかモヤモヤするのは自分が日本人だからなんでしょうかね?
加えて結局そういうブルシットジョブ削減されたとして、できる人や一部の人に仕事が偏りすぎて自分のやりたいことできないとかいうことにならんかと思うんですよ。
著者が反官僚機構的なんですけど、個人的に5,6年前民間から官庁あるいはその逆の両方の人と仕事する機会がありましたが、日本の官庁のブラックっぷり見たら、むしろ官僚機構の人員を柔軟に増やす思想が必要だと考えますが。
政策提言としてユニバーサル・ベーシック・インカムを上げているが、お金もらえればOKの人は多いと思う
ブルシット・ジョブが増殖してるので、それを解決するにはユニバーサル・ベーシック・インカムを上げています。
著者が言うブルシットジョブの増殖で産業が金融化したということは一理あると思います。
資本家は工場ではなく金融機関に投資することで最大の利益を得るようになったがゆえに金融業界の報酬は高まった。その報酬を維持していくための運動の一環としてブルシット・ジョブが生まれたのではないかという問いかけは意義のあるものでしょう。
ただ、個人的にベーシックインカムで5万もらえたとして好きなことだけで生きていくというのは無理ですし、働くとなった場合ブルシットジョブでも金もらえるならOKってなるんじゃないの?っていうのはあるのでモヤモヤするんですよね。
この本では出てこないんですけど、ブルシット・ジョブを苦痛に思う人は実はそれほど多くはなく、実際大したこともしないでそれなりのお給料をもらえるのはラッキーと思っている人が結構いるんじゃないかっていうところに行き着くんですよね。
これは人がなんで働くのか=お金のためというのは捨てようがなく、ベーシックインカム程度では埋め合わせできないとなると問題は続くのでは?という疑念があるんですよね。
やりがいというのをやたら強調するのを雑誌などでみかけますが、世の中そんなきれいごとばかりではないでしょう。
ちなみに本の中で定時まで作業するふりをしていろ(ネットサーフィン可)と上司から命令されるブルシット・ジョブに不満を持つ人の例が載ってました。
仮に今の資産総資産と配当維持(ベーシックインカム実現で株価が現状を維持できるか不透明ですが)で、ベーシックインカムもらえるならばわたしは喜んでその仕事に転職しますがねw


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