音楽産業は経済に通じる「ROCKONOMICS 経済はロックに学べ!」
投資関連の本を読むことが多いのですが、去年のヤマザキOKコンピュータ氏の「くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話」は高尚な文ではないのですけど伝わるものがありました。
とくに投資をする目的は「投資をする目的は人生を可能な限り気持ちよく楽しく生きていくこと」というのは意識したいなと思っています。
くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話 - 関東在住福岡人のまったり投資日記
個人的に投資の本は人が勧めているものを読むことが結構あります。もちろん自分でアンテナ張ってパンローリングとか東洋経済の書籍のサイトは1か月に1回くらい見たりしますけど、それだけじゃカバーしきれないですし。...
まぁ、あれは始まる前にいらんこと言ってた一部のアホがガソリンぶちまけてたせいでさらに燃え上がっちゃったので、一般のアーティストや関係者はかわいそうな面もありますがw
そんな音楽産業に関して経済学の観点から分析した「ROCKONOMICS 経済はロックに学べ!」を購入して読みました。
著者のアラン・B・クルーガー氏は米国財務省次官補やオバマ政権で経済ブレーンを務めた人物で、残念ながら2019年に亡くなってこの本が遺作になっています。
労働経済学を専門とする研究者による音楽産業論という感じなのですが、たかが音楽されど音楽という感じで経済学で説明できることが多いなという印象を強く持ちました。
とくにストリーミングによってどう変わったかとか、運や知的財産に関する項目はこうなってるんだとなかなか興味深いデータが多かったですね。
ロックな経済学7つのカギ
冒頭で上げているロックな経済学の7つのカギがありまして、7つとも音楽と経済の絡みがよくわかるものでした。
- 供給、需要、あれやこれや
- 規模と替えの利かなさがスーパースターを生み出す材料2つ
- 運の力
- ボウイ仮説「音楽そのものは水道とか電気みたいになるよ。年賀ら年中ツアーして回る覚悟をしといたほうがいい。残ってる本当に独自なものなんでそれ以外なくなってる。」
- 価格差別は儲かる
- 高いコストは命取り
- お金がすべてじゃない
とくにデビッドボウイのこの発言を仮説として取り上げてますが、クルーガーはそこまでいってないものの、所謂産業のコモディティ化といえるかなと。
同時に供給や需要とかもあり音楽産業も経済学とかで説明可能だなと。
で、運とかはまぁアーティストのwikiやら見ればかなり左右されるなと思うものでしたが、興味深かったのはストリーミングに関して。
ストリーミングが広がって割とニッチになっているかというとそうでもなく、現れたのは以下と同じように一部の人に人気や富が集中することであることは興味深いなと。


ちなみに再生回数のトップを除いても2番目の再生回数の割合はそこまで増えてないそうで、上位1%の岩盤層がそれなりに存在しているそうです。
こうしてみると資本主義そのものともいえますが、ストリーミングはプラットフォーマーが力を持つリスクもありながらも、資本主義からの出口が少し見える面もあるように思われました。
で、個人的に印象に残ったのは長年のスーパースターがたどる道という累積的優位ですね。
ようは日本なんかでもそうで20年30年以上前からトップが積み重ねてきた累積的優位がでかいという点。
で、主要なアーティストのコンサート収入で見た場合、男女含めて以下の通り。


男性の場合バンドが多く、解散やらになりやすい傾向はあるかと思いますが、基本年を経るにつれて大規模ツアーで一気に伸ばしているのがよくわかる図かと。
マドンナやU2、ボン・ジョビなどの80年代組も急速に伸ばしていますし。
で、そうなると大御所ばかりか?となるわけですが、現状20代のアーティストのコンサート売上の累計は20代時点で相当なもの。
席によるチケット価格の差別化などでより収益をあげれるようになってきていることの証左でもあるんですね。
同時にストリーミングが発展してCDの売上が減ってる現状、コンサートの収益があまりにでかい。
この本はコロナ前に書かれたものですが正常化が今年中は難しそうな現状、どう対処していくのか気になるところです。
まぁ、アメリカの場合こんな感じですが、じゃあ日本の場合どうよとなると男性側はサザン、B'z、ミスチルがぬけてるんじゃないでしょうか?ジャニーズはそこまでライブ収益あるか微妙なグループもありますし。
最後にGDPと音楽の支出のグラフを見ると、やはり日本も音楽への支出は大きい方に分類されます。

一応仕事中でも打ち合わせ中でも音楽をかけていると幸福度が上がるそうなので、これは今度取り入れようかなと思ってます。
音楽産業や経済学に関して興味深いデータも多くてオススメできる一冊だと思います。


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