企業の本質的価値算出の解説本「パーフェクト証券分析」に載っていたリスクの評価方法
8月に夏休み期間中にたまっていた投資関連本を読みましたが、好調な相場だからこそ崩れたときにいかに被害を最小限に止めるかというのを含めていろいろと読みました。
とくに個別銘柄からどうやってポートフォリオを作るかとかに関しては、ハワード・マークスがまえがきで褒めてる「株式投資完全入門」は良かったと思います。
ハワード・マークスはまえがきで褒めている「株式投資完全入門」 - 関東在住福岡人のまったり投資日記
私が好きな投資家の一人としてハワード・マークスを上げることが多く、「市場サイクルを極める」はほんといい本だと思いますし、昨年日経でインタビュー記事と動画が載っていたのはうれしかったです。...
お値段も張ってますが、最初の4分の3くらいはよかったです。
まさか最後の方の100ページくらいは、アナリストとファンドマネージャーの関係について、だらだらと書かれてるとは思いませんでしたが・・アナリストとファンドマネージャー向けの教科書といった感じでしょうか。
個人的にとくにいいなと思ったのが「リスクの評価方法」に関してですね。
リスクの評価方法
アナリストとファンドマネージャー向けに書かれた本ですが、とくにリスクの評価方法については実際の銘柄の例(テスラなど)を上げてわかりやすく可視化されてました。
その中でもとくに印象に残ったことをまとめると以下の項目ですね。
- 不確実性は疑わしいまたは不明であるなにかに対して、リスクは損失または損害の可能性である。不確実性には害が伴わないので、リスクは素材しない。投資家がリスクにさらされるのは、不確実な結果に資本を委ねる場合だけである。
- 概して人間は確実性を望み、不確実性を嫌う。損失や損害の可能性を恐れて不確実性とリスクを混同している。
- 本源的価値が不変であれば、価格の上昇は期待リターンを引き下げ、リスクを高めることになり、一方で価格の低下は期待リターンを引き下げ、リスクを引き下げる。市場価格とリスクは正の相関関係にある、つまり支払った価格が高ければ高いほどリスクは高くなる。
- 不確実性が低いことが自動的にリスクが低くなることを意味しない。実際にキャッシュフローがより確実な企業の株式の方がキャッシュフローの確実性が低い企業のそれよりもリスクが高くなることがある。なぜならリスクの水準は支払われた価格の関数であり、安全域が存在するかどうかにかかっているからだ。
- 妥当性の向上と信頼性の向上はそれぞれリスクを低減し、双方を組み合わせるとさらにリスクは大きく低減する。
- 時間は投資で実現する収益率にとって重要な要素であり、結果としてさらなるリスク源泉となる。企業の本来の本源的価値について正しいだけでは不十分である。
- 実際の投資期間が実現する年間リターンを決定するので、投資家は市場価格と本源的価値との差が縮まるのにかかる時間の予測も正確でなければならない。
肝に銘じたいことを書かれてますが、リスクに関して以下のように厳密に計算して安全域とかを計算していますから、ファンドマネージャーやアナリストはここまで厳密に詰めて投資を考える必要があるということでしょう。

ところどころリスクの考慮や市場価格の数式が出てきてるのですが、上記グラフは普通に計算可能ですから、ルネッサンステクノロジーズなんかはこの理論を数値と数式に落とし込んでるんだと思います。
それが短期で高速に取引するか長期で投資するかの違いはあるでしょう。
後者向けに書かれてる本だからこそ、「市場価格と本源的価値との差が縮まるのにかかる時間の予測も正確でなければならない」ということなのでしょう。
「人間は確実性を望み、不確実性を嫌う」というのはまさに今の市場にも表れてると思いますので、しっかりと分析して投資を行う人には事例がグラフ化されて詳細に書かれてますのでオススメできる内容だと思います。


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