資本主義だけ残ったによると「グローバル・サプライチェーン」に入ることができた国だけが開発を加速させることに成功している
最近読んだ本の中で、「資本主義だけ残った」は現在の世界情勢から経済を含めて考察していて内容的にかなり面白い本でした。
とくに以下の中国や欧米に関して指摘している点は興味深かったですね。
- 共産主義が終わり欧米や日本で見られる民主主義、個人の自由などが結合したリベラル能力資本主義と、中国などの国家主導型の政治的資本主義にわかれた。
- 腐敗はどちらでも起こるが、法適用が曖昧の面で弱い政治的資本主義は高い成長率と効率的な行政を永久に気を抜けない。
- 政治的資本主義は社会的な施策で失敗したら取り返しがつかない確率が高い。
- 「脱成長」などというと聞こえはいいが、他の国は経済成長しており、グローバル経済に組み込まれているならば、例えば自国の文化的な長所を海外資本家に金でとられてしまうだけである。
- 原子化と商品化が進む。
経済や資本主義に関してはとくに腑に落ちるものがありましたし、個人の原子化と商品化という事象は今後生きていくうえで意識しておかないとなと思いました。
とくに印象に残った点がそれ以外にありまして、グローバル経済に関しての記載で「グローバル・サプライチェーンに入ることができた国だけが開発を加速させることに成功している」という点ですね。
「グローバル・サプライチェーン」に入ることができた国だけが開発を加速させることに成功している
新興国への投資する場合はとくにこの観点が重要かなと思った点なのですが、「ある国が発展するには富裕国との関係を断ち切る努力をするよりも、西側のサプライチェーンに入れてもらうことが必要だ」という点です。
結局サプライチェーンに入れてもらえれば、外国投資家が自分たちの生産工程の不可欠な要素と見ているからこそ、お金も回るようになるということですね。
それを踏まえた上で著者のミラノヴィッチはリチャード・ボールドウィンの以下の意見を取り上げています。
その中でも韓国と中国、インド、インドネシア、タイなどのアジアの国はタイプが異なっていて、開発の新たな道を切り開いていて、自国の経済を先進国世界に組み込むことにより、技術的・制度的な段階をいくつか飛び越えて発展したというのは面白い視点だなと。グローバル・サプライチェーンに入ることのできた国だけが自国の開発を加速させることができる。これができたのは中国、韓国、インド、インドネシア、タイ、ポーランドであり、他にも数か国(バングラデシュ、エチオピア、ミャンマー、ベトナム、ルーマニア)が今後このリストに加わる見込みだ。
で、ここで上がっていた国を見るとミャンマーは本が書かれた時期とは話が違ってきているような気がしますが、基本は東アジアとインド付近とドイツから近めの東欧。
フロンティア含めて新興国に投資するにはこの視点が大事で、先進国との関係と地理的なものが大きいかなと。
なので東欧に関してはルーマニアだけでなくチェコとかハンガリーあたりも含めて考えればいいかなと。
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で個人的に注目すべきはエチオピアかなと。
超加速経済アフリカで特に評価の高かったケニアの隣という立地がいい。
加えてルチル・シャルマも西アフリカは酷いのでアフリカなら東アフリカと言ってる点からも面白いかなと思います。
ただ、内戦も最近起きてたりするので、個人的にはケニアの方が海にも面しているのでいいのでは?と考えています。


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