ビル・ゲイツのお気に入りバーツラフ・シュミルのNumbers Don't Lie 世界のリアルは「数字」でつかめ!
前から気になっていたNumbers Don't Lie 世界のリアルは「数字」でつかめ!を読みました。
中東情勢の雲行きが怪しい中、エネルギーの人類史を読んだ - 関東在住福岡人のまったり投資日記
イランとアメリカが揉めていて中東情勢にきな臭さが漂っておりますが、じゃあ原油価格どうなってんのか?ということでWTI先物に連動するETFで見てみたところ以下の通り。高値から遠いという感じですし、4~5年前にかけての急落の後遺症が残ってる状態です。こんな原油価格の推移ですから、石油資源に頼った独裁政権のベネズエラの政情が不安になるのもわかる気がします。...
本書はアメリカの工学系の専門学会のIEEE Spectrum誌の短いコラムをまとめたもので、ファクトフルネスや21世紀の啓蒙ほどの深さはありませんが、とくにエネルギーに関しては興味深い記載が多い印象です。
幸せになるにはどうすればいいか?
全般的に数字について書かれていますが、日本に関する記載も多いけど???という記載も多いですし、人口動態から中国は日本の韻を踏むというのも人口規模が10倍違うのでどうなるのかわからないというのはあるかと。
あと近年の帝国は100年持たないというものもアメリカを無理矢理ベトナム戦争終了で帝国の終わりとしちゃってるとかありましたし。
ただ、それを抜きにしても数字に関して興味深い内容が多いです。
まずは幸福度調査というのが例年行われてますが、北欧が総じて高い。
メキシコ(麻薬が蔓延し、暴力事件や殺人事件の発生率がきわめて高い)が23位でフランスより上位な上に、グアテマラ>サウジアラビア、パナマ>イタリア、アルゼンチン>日本、エクアドル>韓国というのは何故かと。
で、紐解いていくと北欧との共通点はカトリックであること。
報道自由度のランキングとかも、あからさまにカラクリあるよなと思うのですが、これも指標を構成する項目見ると納得がいきますし、そこまでありがたがる意味のあるものとも思えないなと。
製造業はなぜ重要か?
次に製造業の重要性の項目が気になりました。
世界の製造業は2000年から2017年で生産高は2倍になった一方で、製造業の総体的な重要性は急速に低下していて、かつての農業と同じ道をたどっています。
とはいえ、製造業がGDPに占める割合の高い国は失業率も低い傾向があるのは間違いなく、雇用面からもものづくりはいまでも重要なのは明らか。

ただ、この結果を見ると仮に製造業の総体的な重要性が下がった場合に、これらの国々に影響が出るのではないか?というのは思いました。
自動車なんかどうなるのか先行き不透明な部分もありますし。
エネルギー移行がゆっくり進むのは仕方がない
最後にエネルギーに関しては風力発電に関して化石燃料が必要だったり、大きなバッテリーが必要などエネルギーの人類史を書いただけ合ってかなりリアルなところを書いてます。
その最後の項目で上げてるのは「エネルギー移行がゆっくり進むのは仕方ない」という点を指摘してます。
とはいえ国連が気候変動の条約を採択したのは1992年であるものの、化石燃料は世界の一次エネルギーの86.6%から2017年で85.1%しか利用が減ってない。
では2050年までに化石炭素の使用をゼロに近づけるにはどうすればいいかというと、今後2050年までに全世界の1次エネルギーの約80%を非炭素の代替エネルギーに買えなければならない。
再生可能エネルギーは過去25年で0.5%→4.5%まで貢献が増えたものの、水力と比べても太陽光と風力発電が低炭素化に貢献する割合が少ない。
これを鑑みて数10年のスケールが必要というのはもっともなことで、選挙が近い中、非現実的な数字を上げちゃう政党やわけのわからないことばかり言う前環境大臣がいますけど、一番必要なのは投資同様ポートフォリオを組むことだと思うんですよね。
じゃないとヨーロッパのように電気代が跳ね上がることになりますし、インフレが騒がれてるのも極端に脱炭素や自然エネルギーを評価していることにあるかと。
本の中では否定的なことが結構書かれていた原発も含めていろいろと一定比率で組み合わせるのがベストだと考えています。
ともあれ数字に関しては著者の多角的な視点から見なければならないと説いています。
コロナに関しても明らかに増加のペースが鈍ってた8月中旬~午前2時下旬くらいでも煽ってたテレビや雑誌をみると金に目がくらまずに冷静に数字を見ることも重要だと思う今日この頃です。


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