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投資関連本

「バブルの経済理論」によると世界中低金利なので貨幣や国債もバブル?

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今年はとにかく相場が好調で前月比で総資産がマイナスになった月が1月しかないという状況でして、このまま順調に推移してくれればいいもののそうは問屋が卸さないやろとは思っています。

なのでこういう順調なときこそバブルや世界恐慌時の本を読んでいます。

「金融危機の行動経済学」を読んでいるとエバーグランデ(恒大集団)の問題は結構危ないんじゃないかと思えてくる - 関東在住福岡人のまったり投資日記

結果的に9月の下落も一段落したように見えるのですが、流石にコロナショックから1年でこれだけ株価が上がって次の調整は・・という怖さを感じています。...

その関連で経済学でのバブルの見方を8年かけてまとめた「バブルの経済理論」を読みました。

著者の櫻川昌哉氏は慶應義塾大学経済学部教授で、円の国際化なども説いてる方でもあります。

全体を投資手ボリューミーな感じですが、面倒な数式なしにグラフを使って説明しているので、わかりやすさはあると思います。

もちろん個人的に疑問な点もありますし、反対の意見がある部分もありますけど、政策面でもマイナスや副作用に触れていていい本だと思います。

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経済学から見たバブルと、バブルの歴史


まず1章~3章では、経済学から見たバブルを理論的に書いています。

金融が「適格な担保」という基本命題を忘れたとき、信用膨張と資産価格高騰の回転が生じるため、信用崩壊と恐慌を当局がコントロールすることはできない。

そして、「利子率<成長率」の世界は主流派経済学では扱えない。

「低金利の経済学」では、バブルが定常的に成り立つことを説明できるため、その世界では、資産価格は、適格な担保ではなく「期待の連鎖」によって裏付けられている。株や不動産だけでなく、貨幣や国債もバブルであると説いてるのは一理あるかと思います。

ただし、全般を通して土地バブルと国債に焦点が当てられているせいか、株式バブルに関しては弱いなというのはあります。

日本やアメリカのリーマンショックに関して研究はあるものの、ITバブルに関しては記載が少ないかなという感じです(他国のバブルも同様)。

続いて4章~9章では主なバブルの事例と類型ということで歴史を振り返ってます。

事例としては、日本の不動産バブル、米国の住宅+金融商品バブル、北欧やアイスランドのバブル、アジア通貨危機の経験を振り返ってます。

日本は大国型・黒字国型・先進国型のバブルであり、政策対応が遅れたために長期の不況を招いたと指摘し、日本の不動産バブルの要因になったのは、金融の自由化や政策対応の誤りで87年に動かなかった日銀の判断ミスは決定的であったとのこと。

加えて21か国、23のバブルを分析し、発生、膨張、崩壊というバブル循環のメカニズムを明らかにしてます。

バブルはいったん崩壊しても、国家や地域を替えながら、次のバブルに取って代わり、バブルが流転するとのこと。

加えてリーマン危機以降の歴史的低金利=安全資産の不足は長期化する可能性がある。

加えて日本経済が90年代以降低迷した核心に迫っているのも興味深いです。

バブルは、低金利だけでなく、金融市場の不完全性にも起因するため、情報の非対称性や過度な金融規制などがあって、資金の需要と供給が円滑に調整できないと、需給の不均衡を補うようにしてバブルが生じる。

日本の現状は、貨幣や国債への過大な需要がそれを補っていて、金融機能の不全が、そうした事態を引き起こす。

経済の無形資産化という技術的な変化に金融の仕組みが対応できない金融劣化が進み、低金利のもとで国債バブルが膨張、政府債務という霞が巨大になるなかで、経済の「贈与化」が生じ、市場経済は縮小し、成長しなくなる、それこそが長期停滞の本質であることを指摘しているのは一理あるかなと思います。

バブルは政策的に制御できるかのか?


10章~13章ではバブルは政策的に制御できるかについて説明しています。

低金利の経済学によれば、金融市場の不完全性が存在し、 中央銀行が名目利子率をゼロに据え置いたとき、 貨幣がバブル資産として保有され、 経済成長率と物価の下落率は等しくなるため金融政策はむしろ状況を悪化させる可能性があるそうです。

ゼロ金利が成長を阻害する罠を避けるには、米国のように、量的緩和はいずれ終わるというシグナルを発信する必要がある。

日銀は、理論的根拠に乏しいリフレ派を信じて出口を示さない政策をとった。これはむしろデフレを長期化させ、財政ファイナンスへの道を開く。

「利子率> 成長率」の世界で国債の価値を支えるのは将来の財政黒字という 「適格な担保」であるが、量的緩和以後の「利子率=成長率」の世界では、国債はバブルであり、借り換えを繰り返すことで財政悪化を防ぐことができる。

今は運よく世界的低金利だが、世界的な利子率が上昇傾向に向かえば、国内の金融機関は日本政府を見捨てるとのこと。

また、財政赤字の拡大は長期的な経済成長を阻害する。

ポスト・コロナの時代、日本政府は財政緊縮へ戻るという意思決定をすべきとのことでした。

個人的にこの点で気になったのは新興国含めて世界中に広がってるような気がするので、そうなった場合に類似の政策を施行している国は多く、通貨が強くない国とかユーロはどうなるんだと思いました。

あとは日本より金利がマイナスな国が欧州にちらほらある中、そういう国はどうなるの?という点も気になるんですよね。

では日本はどういう金融政策をとるべきか?


では櫻川氏はどういう政策をとるべきかとあるべき財政・金融・通貨政策は次の通り。

  • 金融政策は、ゼロ金利からの離脱を明確にして、10年物国債利回り1.0%程度をターゲットにする。
  • 政策効果を確かなものにするために、アジア・太平洋地域の政府・中央銀行が日本国債を外貨準備として保有するよう働きかけていく。
  • 通貨政策が重要となる。あわせて財政規律の強化を介して、 日本国債への信認を高めていくことが欠かせない。
  • タンス預金をゼロにし、 国債の自国保有比率を現在の 95% から 80%程度に引き下げれば、 実質利子率は 1%程度低下するであろう。

利上げ路線が理論的に正しい景気促進策で、押してもだめなら 引いてみよという感じです。

ちなみに消費税に関しても触れてますが、あげなきゃいけないけど利子率=成長率の状況を考えると現実的なあげ方だったので、
社会保障費用に全額消費税を充てるなどの提案は理にかなってますし、金利を上げるにしてもこういう副作用があるので注意が必要と具体的に書かれてるのでなるほどなと思う点もありました(消費の落ち込みとかも考慮されてる)。

ただ、個人的に引っかかるのは、ドルが国際通貨で強くてそれに挑もうとしないから日本と中国は問題ありという指摘で、日中が協力して円と元を国際通貨化せよという提言は、さすがにドルのシェアを円が食ったらアメリカはやめろと言ってくるでしょう。

全般的にバブルが起きる理由と金利に関しては貴重な考察が載っていて有意義な一冊だと思いますし、バブルに関してどういう構造で起きるかはいずれ来る下落相場に備える意味でもいい本だと思います。
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