コロナでアニメやゲーム関連はどうなる?推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来
コロナの感染者が日本はかなり縮小していて、大きい道路を散歩していても車の中でマスクする人が減ったり、混雑しているのが東京の外向きだったのが大分都内方面に向かう車も増えた印象を持ちます。
そんな中でもまだまだスポーツ・エンタメ業界は観客をフル動員できてない状況で、2年近くになりますが影響は甚大になりつつあります。
そんなエンタメ業界の動向を知るために、「推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来」を読みました。
著者の中山氏はブシロード執行役員で、メディアミックスIPプロジェクトとともにアニメ・ゲーム・スポーツの海外展開を推進している方です。
前作の「オタク経済圏創世記」もなかなか興味深い内容でした。
オタク経済圏創世記を読んだが、アニメ・ゲームとスポーツの市場価値は今後更に上がると思う - 関東在住福岡人のまったり投資日記
アニメとゲームを大人になってもやってる人は・・という思想はわたしが小学生くらいの25年前頃はあったと思いますけど、2008年あたりを境目にいまではすっかり市民権を得たと思います。もちろんテレビ離れが進んだことと、2008年頃にはニコニコが勢いある時代でしたし、ハルヒ、コードギアス、マクロスF、けいおんあたりの作品の役割も大きかったと思いますね。...
FOMO(Fear of Missing Out)とJOMO(Joy of Missing Out)
自分の時間に対する費用対効果が意識されはじめてきている傾向はあって、アニメの8割9割が赤字になって、残りで赤字分補填というのはこの10年でも進んでいると思いますね。
で、興味深かったのはZ世代は、情報をキャッチアップすることへ諦観を見せていて、 「JOMO(Joy of Missing Out)」という態度が散見されるのに対し、ミレニアム世代以前は「FOMO(Fear of Missing Out)」に取り憑かれ、SNSを回遊し、自分がコミュニティの先端情報からおいていかれることを恐れているということ。
ミレニアム世代と上の世代(1970年代)と更にその上1960年代もかなり空気の違いを感じるのですが、Z世代もちょっと違うのは分かる気がしますね。
アニメ・ゲーム関連好きを公言しやすい環境が整ってきたのは間違いないでしょうけど。
ユーザーが自ら1歩アクションを踏み出して、その参加を引っ張り上げて引き出すようなリール型のマーケティングが必要という指摘はまさにその通りで、ゲーム関連やアニメ関連はこの仕組みを取り入れればより勝ち組となっていくのでしょう。
それにしてもゲーム関連の大手3社(ソニー、任天堂、マイクロソフト)が直近で収益伸ばしてるの見たらそりゃe-sportsの中継とかが行われるようになりますし、なんであんなにバトルロワイヤル的なゲームの広告を見るのかもよくわかりました。
テレビはこの時間しか流れないという優位性はあるが、アニメやスポーツの地上波放映が減ってるの見るとどんどん厳しくなりそう
テレビはTwitter片手にライブを楽しむアーカイブプラットフォームになっていると書かれてました。
その意味でポジティブな面として半沢シリーズの例が挙げられていて、テレビはこの時間しか流れないという優位性が説かれてましたが、個人的にこれが有効なものってエンタメ以外だとスポーツだと思うんですね。
ただ、そのスポーツでサッカーの日本代表のアウェー(中東開催が多く時差ありの深夜)の放映権取れなかったり、F1やゴルフあたりもDAZNなどに取られつつあるのを見ますと、経営傾くところが出てくるんじゃなかろうか?と思うんですよね。
実際、Netflixとかで放映後1クール遅れて地上波放映のアニメとかもありますからね。
おまけに視聴率ほしさに反五輪キャンペーン→五輪始まったらお祭り騒ぎは流石に頭おかしいと思う人多いでしょう。
鬼滅の刃の制作体制について触れられてましたが、このパターンの制作体制が進むとテレビが得られる収益はきつくなりそうな印象を持ちました。
本の中でも指摘されていますが、アメリカの大手ネットワークは買収されて再編が進んでるのに対し、日本はテレビ局の買収が1990年代から2000年代に否定された経緯があります。
いまとなってはあのときに買収されていたらということに10年後はなってるかもしれません(ホリエモン事件から明らかにダメな方向行ってるフジテレビや、子供向けコンテンツを多く持ってるのに高齢者向け番組量産のテレ朝)。
コロナでタレントの新陳代謝は進み、声優は勝者総取りになる?
本に書かれてない部分でエンタメで気になる点は、タレントの場合テレビ局が傾いてますのでギャラが高い人から切られるのが進みそうな印象です。
司会者的な人が高齢化しているので世代交代が進むのはポジティブな面もあるのでしょうけど、逆に後釜に座った人間は20年前に同じ位置にいた人よりも先がないためきついでしょうね。
一方、実写と違ってゲーム・アニメで海外の知名度も上がりつつある声優は逆の事象になってる模様。
これまでキャスト集合していて撮ってたのが数人単位になって、拘束時間が短くなって撮れる本数が増えたので知名度ある声優が有利(談・碇シンジ)になってるとのこと。
バラエティに声優出てるのは30代以下にアニメ・ゲーム関連が浸透しているのもあるでしょうけど、そういうスケジュール的なものも余裕ができてるのかもしれません。
ともあれエンタメのクリエイティブ面やビジネス面の現状を考える上で有意義な一冊だと思います。


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