「イオンを創った男」岡田卓也曰く「上げに儲けるな、下げに儲けよ」
小売り関連の有名人というと福岡で育った影響で、ダイエーホークス時代を見てきただけに中内功の印象が強いのですが、「ゆめタウンの男」を読んで、小売りの創業者はなかなか面白い人物が多いなという印象を持つようになりました。
ゆめタウンの男が説く地域で一番になることの重要性 - 関東在住福岡人のまったり投資日記
総合スーパー(GMS)というとイオンやイトーヨーカドーが思い浮かぶでしょうけど、これらの企業の営業収益費の営業利益率で見ると、2017年度の実績ではイオンが0.5%、イトーヨーカドーが0.2%と非常に小さい。ところが単体の営業利益率が4.7%をたたき出している同業があるんですね。広島地盤のイズミです。...
書いた人がイオンの人事にいた人なので、よいしょ的なところはあるかと思いますが、商店街廃れさせた戦犯イオンといわれることも多い中、なかなか興味深い内容が多かったです。
とくに一番印象に残ったのが、「上げに儲けるな、下げに儲けよ」ですね。
上げに儲けるな、下げに儲けよ
経営面の投資とかも書かれた本なのですけど、とくにこの「上げに儲けるな、下げに儲けよ」は投資にも通じるよなぁと思いました。
- 上げに儲けるのはおかしい。商人の本当の姿ではない。下げに儲けるのが本当の商人だ。
- 岡田卓也の父は大正時代に生糸・綿糸などの価格が暴落した時に呉服屋だったので、二束三文で売り出し、その現金で商品を買っては売りを繰り返し大儲けをした。
- 1986~1991年のバブル景気とバブル崩壊のときに高騰する土地や株式を見て、「これは上げだ」と思った。
- 平成のバブルのときになにもやらなかったというほど本業の身に集中して広げることを一切しなかった。
- バブル時代に投資や融資だけの話だけでなく、「大量採用することは、上げで儲けることと一緒だ」と採用さえも無理をしなかった。
- 「人間も、事業も、経済も、上がって上がって有頂天になったときが一番危険だ。上がったものは必ず下がる。下がったものはかならず上がる。わたしはこの原則は確実に存在すると思う。そして、下がるときにお客様の役に立つのが、本当の商人だ。」
まぁ、危険性に気づいて宝塚とブレーブスを天秤にかけてブレーブスを売却した阪急と統合するのは必然だったかもしれません。
で、これらの言葉を見るととても浮かれたような時代ではないと思いますが、現代と似ているところはあると思うので、投資に関して拡大拡大とする時期ではないような気がしてなりませんでした。
ちなみに「短期利益の追求だけではそれは投機に近く、会社は次第に弱くなる。長期的に利益を上げうるには使命が社会に適合しているかどうかが問われることになる」ともいっていて、これも投資でも当てはまると思います。
それにしても国会議員の息子は当時の弊社の社長から「首相が変わって話のわかる岡田が副総理になってマシになった」と言われた人ですけど、7年前の安保法制で共産党に近づいて野党衰退の原因となっているので、あえて継がせなかったんでしょう。
ちなみにイオンのせいで商店街廃れた論はわかるっちゃわかるんですが、それに関して岡田卓也「人の流れはいずれ変わる」といってるのは、一理ありますし、だからこそ生き残れたのはあるんだろうなと思いました。
ゆめタウンの男ことイズミの今西氏同様革新が必要といってるのは興味深かったですね。
ともあれ株価がやや下がった現状だからこそ、「上げに儲けるな、下げに儲けよ」という言葉は肝に銘じたいものです。


フォローする Follow @garboflash
更新情報を受け取る

- 関連記事
-
- 人間同様ダービー馬やG1馬も引退後のプランが必要?
- ピーター・ティール「シリコンバレーの企業は本当の意味で革新的なものを生み出せていない」
- 「イオンを創った男」岡田卓也曰く「上げに儲けるな、下げに儲けよ」
- インパクト投資の観点では資産規模でも人気でもエネルギー関連が強い
- 長期的に経済制裁だけでなく、先進国を中心に脱物質化が進むのもロシアにとってはきついと思う