「バフェットのマネーマインド」を読むと適応的市場仮説に近いものがある
ウォーレン・バフェット関連の本は多数出ていて、内容的にも重複してるものもあります。
そんな中、ロバート・G.ハグストロームの「バフェットのマネーマインド」を読みました。
この本を書いたロバート・G.ハグストロームは「株で富を築くバフェットの法則」の著者ですので、その後バークシャーの後継者の話になった時にでてきた「マネーマインド」に関して考察した一冊になります。
バフェットの原点から探っていく一冊になりますが、投資手法の変遷なんかを見ておりますと個人的に「適応的市場仮説」に近いものがあるなと。
バリュー投資を時代に合わせて適応させてきた
では、「マネーマインド」とは何かということで、ハグストロームがバフェットの父親の経歴など年代順でまとめてるわけですが、そこから内容を抽出すると以下の通り。
- インデックスファンドではなく、個別株に投資しているのであれば、企業の内部構造を理解していないと、マネーマインドの第1段階には到達できない。
- 自立することで自信を持ち、それが成功をもたらし、さらに自立を強める上昇サイクルの出発点になるので、自立はマネーマインドの主要な構成要素である。
- 投資に対する理解が合理性(幅広い知識の集合体である「経験の共有」と「経験者」)に基づくべき
- 他の分野のメンタルモデルを学ぶことでさらに強化される。
- 世界が常に変化していて、「変化への挑戦」には適応力が必要なことを理解している。
- どんなにすばらしいものであっても技術的なスキルだけでは変化に対応できないことも認識している。
- ビジネス視点の投資家である。
- 株式市場のノイズを認識しながら、価値のシグナルにはより敏感に反応し、それらがいずれ株式市場で正当に評価されることを知っている。
- マネーマインドとは美徳を持つ心である。
バフェットの投資哲学をとらえた内容になってると思いましたね。
個人的に印象に残った点は変化に適応する、対応するという言葉が出てくることですね。
バフェットが投資に興味を持つきっかけとなった本なども紹介されてますが、グレアムの影響を受けたものの、そこからマンガーの影響を受け、フィリップ・フィッシャーの影響を受けて、「安く買う」から脱却していく過程が整理されています。
もちろんグロース株が強かった2010年代はバフェットもその波の影響をうけてるわけですけど、時代に合わせて変化して適合しようとしている。
本の中ではバリュー手法でハイテク銘柄に投資するビル・ミラーも紹介されてますが、割とバフェットもその方向にいってる印象を持ちました。
で、個人的にアンドリュー・W・ローの「適応的市場仮説」を思い出しました。
適応的市場仮説の基本的な考え方はは以下の5点でまとめられていました。
効率的市場仮説に代わる適応的市場仮説とは?Adaptive Markets(アダプティブ・マーケット) - 関東在住福岡人のまったり投資日記
効率的市場仮説というと、現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれており、超過リターンを得ることはできず、株価の予測は不可能であるという学説になります。...
割とバフェットの考えやマネーマインドにも近いんじゃないかと考えます。
- 私たちは常に合理的なわけでも常に非合理的なわけでもない。私たちは進化の力によって特徴や行動が形作られる生物学的存在である。
- 私たちの行動にはバイアスがあり、わたしたちは一見すると最適でない意思決定も行うが、過去の経験に学び、否定的なフィードバックに応じてヒューリスティックスを見直すことができる。
- 私たちには先を見据えた「もし~なら」分析をはじめとする、抽象的思考、過去の経験に基づいた未来予測、環境変化に対応する準備を行う能力がある。これは思考の速さで進む進化であり、生物学的な進化とは異なるが、まったく別物というわけではない。
- 金融市場のダイナミクスは、私たちが行動や学習を行い、周囲の人々や社会、文化、政治、経済、自然の環境に適応する際の相互作用によって形成されるものである。
- 生存こそが競争、革新、適応を促す究極の原動力である。
低金利の時代からインフレの時代で直近10年とは異なる相場になる可能性が出てきた今こそ、マネーマインドや適応的市場仮説っていうのが重要じゃないかと読んでいて思いました。


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