田渕直也著:ランダムウォークを超えて勝つための 株式投資の思考法と戦略
田渕直也氏の「ランダムウォークを超えて勝つための 株式投資の思考法と戦略」を読みました。
最近出た「不確実性」超入門の文庫本の内容がよかったので、これも読んでみるかということでポチりました。
「不確実性」超入門に書かれてあった不確実性の対処方法を読むと、やっぱり長期思考しかないなと思う - 関東在住福岡人のまったり投資日記
3月あまり時間が確保できてませんでしたがなんとか不確実性超入門を読み終えました...
個人的にはいま投資を始める場合はこれまでとは勝手が違うということが印象に残ったのと、インデックス+αで個別株投資やる人にはオススメできるかなと。
基本的に4章と5章が重要だと思いますが、この本の内容をまとめると以下の6点になります。
- 株式投資は預金や債券に比べて期待リターンが高く、長期で見るとその差は非常に大きなものになりうる。
- 銘柄選びや売買タイミングでリターンを引き上げることはとても難しく、それを回避するのがドルコスト平均法によるインデックス投資である。
- 投資の本当の姿は長期で初めて現れる。
- 期待リターンとリスクの大きさは比例するので、投資目的に合わせて適切な組み合わせを選ぶべし。
- 上記4つの大枠を抑えたうえで、どう個別株に投資していくかを考える。
- 試行錯誤しながら、自分に合ったスタイルをみつけよう。
個人的には上4つと最後の1つを守って、スタイルや余裕ができたら個別株というのでも遅くはないかなと思いました。
とくに試行錯誤しながらスタイルを見るけるというのは、巻末で秋山真之に指導したアルフェレッド・セイヤー・マハンの「古今の戦史を陸海の区別なく詳しく調べなさい、古今の名著をことごとく読みなさい、そして「それから得た知識を分解し、自分で編成しなおし、自分で自分なりの原理原則をうちたてることです。自分でたてた原理原則のみが応用の利くものであり、他人から学んだだけではつまりません」」が引用されてるように非常に重要じゃないかと。
まずはやってみることもありますが、基本的にはほったらかし以外でもある程度は学習した方がいいと個人的には考えますけどね。
それ以外の細かな部分として4章でファクター関連の記載が多かったので、これを試行錯誤して個別株で試してみる価値はあるかと思います。
こういう本に関しては得てして、過去○%で上昇したから今後も続くので投資をしようとなりがちですが、この本はちょっと違う。
以下のように指摘しているので、今後投資をする上で特に留意が必要かと。
- 現在の金融市場には長期にわたる構造的な変化が起きており、アウトパフォーマンス要因にも影響を与える可能性がある。
- ここ30~40年続いている超低金利、超金余りへ向かう動きがあった。
- かつて有効だった小型、バリューといった効果は確認しずらくなっている。
- 高配当株や低ボラティリティ株のパフォーマンスがよくなっている可能性がある。
- インフレの復活は構造変化の終わりの始まりを告げるものとなるかもしれず、注意してみていくことが必要。
インフレに関しては為替にも影響が出ますので、過去とは違う可能性が結構あることを意識しながら運用した方がいいでしょう。
ともあれ初心者が個別株を始めるにあたってはいい本だと思いました。


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