AI監獄ウイグルを読むと、ウイグルは米中テック企業が作った「最悪の実験場」のように思える
台湾関連で中国に関して先週騒がしい状況でしたが、日本のマスコミでペロシの台湾到着を生中継した局はなかったようです。
ロシアのウクライナ侵攻もありますし、ちょっと周りが見えてないかなと言う気がしますが。
とくに台湾海峡ってエネルギー面でも日本にとって相当重要なわけで、無責任に脱原発煽ったの含めて全体像見てないのはどうなのかという印象です。
その思いを強くした理由として、「AI監獄ウイグル」を読んだというのもあります。
読み終わるとAIや洗脳の怖さを覚えると同時になぜ欧米が中国に対して距離をとるようになったかもよくわかります。
米中テック企業が作った「最悪の実験場」
前書きで100人以上にインタビューしたとは言え明らかに誇張している人の内容は除外していると書かれてますから、それでこのレベルの中身なのが怖さではあります。
インタビューを受けてる人たちは明らかに状況が悪化していく中で幸運にもウイグルから脱出できた人たち。
半数くらいの人が強制収容所に入れられていて、その中では思想教育と極限状態において洗脳に近い物。
おまけに外で暮らしている人たちは少しでも怪しい部分があるとスコア付けで店の利用等も制限されるわけで、中国テックをもてはやしている有識者もいましたが、これを読むとちょっとやばくないかと思うレベルです。
ちなみに5年くらい前の飲み会で他社に「中国が出てきて経済支配されても日本はなんとかなるよ」と言ってる人がいましたが(スマホも安いから中華製)、その後欧米で中国企業が規制されてるのを見ますとあのとき抱いた違和感がなんとなく顕在化していないかと思う今日この頃です。
あと一路一体という話がありましたけど、ウイグルの民族的にカザフスタンやトルコに亡命した状態になっても、亡命先の政府が強制連行→中国へ強制送還も行われてたりする模様。
加えて現地にスパイがいたり、中国に残った親族の電話番号から電話がかかってくるなど、本が書かれて多少なりとも時間が経っていて現在どうなってるんだ?という気がします。
これを読むと漢族中心の発展している沿岸部やらはどうなってるのかが気になるのと同時に、新疆に工場建ててる欧米企業にESG投資を語る資格はないかなと思いました。
技術的に欧米の技術を活用しているわけですが、厳しくなったとしても産業スパイ的なものをどうするのかは気になりました。
で、AI監獄ができるまでの移行期の間に亡命できた人たちへのインタビューが多く載っていましたが、気になった点は末端を虐げたとしても軍部で反乱起きたときとか対応できるのか?というのは思いました。
ちなみに資本主義だけ残ったによると中国などの国家主導型の政治的資本主義に関しては以下の点が指摘されています。
- 腐敗はどちらでも起こるが、法適用が曖昧の面で弱い政治的資本主義は高い成長率と効率的な行政を永久に気を抜けない。
- 政治的資本主義は社会的な施策で失敗したら取り返しがつかない確率が高い。
コロナや不動産バブルの施策で失敗している気がするのですが、これがウイグルにとっていい方向に行くといいのですが。
ともあれ中国の負の側面を知る上で有意義な一冊だと考えます。


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