東電電気代何とかしろと思ったら読みたい、宇佐美典也著「電力危機 私たちはいつまで高い電気代を払い続けるのか?」
宇佐美典也氏の「電力危機 私たちはいつまで高い電気代を払い続けるのか?」を読みました。
「逃げられない世代」を読んだときに帯とは違って割と現実的に推計されていて、流石元経済産業省という感じでした。
で、そんな宇佐美氏は太陽光発電等に関わるコンサルティングも経験しているので、そんな人が電力危機に関して書いてるなら読んでおいて損はないかなと。
電気と電力の基礎から100年前の電力会社の歴史、オイルショックから現代に至るまでの変遷と将来について論理的に纏められており極めて分かりやすい一冊だと思います。
個人的に今後10年くらいの電機関連は書いてあることの通りじゃないかと。
電力の未来はどうなるのか
電気と電力の基礎から1章が始まってますが、本編は2章の「電力王」福沢桃介と「電力の鬼」松永安左エ門による明治から第2次世界大戦までの歴史でしょう。
2名ともいろんな意味で稀有な人物だということがわかります。
そして電力国家管理→9電力体制から石油ショック、東日本大震災+原発という流れで動向がわかりやすくまとめられてます。
とくに原発の種類とか再生エネルギーと火力や原発の価格比較はわかりますかったです。
で、現状は以下の通り。
- 電力システムの改革はいまのところうまくいってない。
- 東日本の電力不足は長期化するが、それ自体は問題ではない。
- 電力料金はまだ上がる、これは大問題。
東京エリアはベースロード電源比率が低すぎて、昼でも低いVRE現現比率で、電力貯蔵システムへの過剰な依存や、他地域への常時供給依存と問題だらけで、2030年までのスパンで解決する可能性もほぼなく、数年ではほぼゼロとのこと。
これは新潟などの原発稼働しても解決しないらしいので(データ的に読んでもその通り)、割と電力バランスとれてる九州に半導体の工場創というのは理にかなってるってことです。
節電志向で関東圏のドラッグストア入ったら電灯間引いてるとかが常態化するのかもしれません。
では、今後の予測と提言はどうかというと以下の通り。
- 地方は安くて豊富で持続可能な電力システムの構築に成功する。
- 軽EVは電力不足の救世主になりうる。
- 第6次エネルギー基本計画は破綻し、原子力立国は復活する。
- ABWR型の原発の某後は国策として一元化すべき
- ロシアとの関係を続けるために、防衛能力を拡充して交渉材料を持つべき。
個人的に提言のロシアの部分は防衛能力拡充は台湾問題で並行してやる必要性があるのですけど、ロシア自体がどうなるかわからないところに難しさがあるかなと思いました。
ともあれ電力の歴史と現状の課題、今後の展望がわかりやすく、オススメできる一冊だと思います。


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