政治は0か1かではなく中間の落としどころが重要であることが分かる「安倍晋三回顧録」
予約を忘れて発売日以降に予約したら届くのに1ヶ月かかった安倍晋三回顧録を読み終えました。
で、それ以外は政権を担った年の出来事について回顧していて、質問に答えてるけどそれが忖度したものではないのでインタビューアーも優秀だと思います。
個人的に世界各国の要人やら国内政治の要人に対する見方は正直に書かれていて、オススメできる一冊だと思いますね。
で、読み終わって思うのは政治は0か1かではなく、中間の落としどころが重要ということが示唆されてるんじゃないかと。
政治は0か1かではなく中間の落としどころが重要であることが分かる
国内政治関連と外交関連が非常に興味深い記述で、かなり正直な感情の回顧が書かれてる印象です。
財務省はほんとに毛嫌いしていて、コロナ流行時のインタビューのせいか厚労省にも不満が結構あるような内容でした。
出世して1回目の首相になるまでの過程で、小泉首相とはちょっと距離感や価値観の違いがあること。
そして小池百合子に関しては、菅首相によくつきあいますねと言われてもつきあいつつ、実務ができないことをものすごく把握しているのはよく見てると思うんですよね。
外交に関してもTPPやオバマ、トランプとしたたかに交渉しているのが印象に残る一方、メルケルとプーチンに関しては素っ気ない感じがしました。
中国と習近平に関しては日本を一定程度認め、さらなる対抗策をとるから、あたかも将棋と同じなのだと語るのは興味深かったです。要注意発言をかなり答えていますけど。
イスラエルの諜報機関からあなたが総裁選に勝つことになってると言われたのは笑い話にしてましたがw
外交というのは交渉の場と会食のイメージで軽く批判する人がいますが、裏で動く官僚もいますし、事前にレクチャーを受けてうまく立ち回ることがちゃんとできてるからこそ外交が上手かったのでしょう。
安倍内閣時代に外相だった岸田首相は外交・防衛に関して引き継いでる感がありますし。
で、政権運営において公明党や二階幹事長の距離の取り方、うまく折衝するのを見てますと、政治は0か1かではなく中間の落としどころが重要であるというのがよくわかるんですよね。
よく外交で断交しろといいますが、それじゃなりたたないと書いてるのはその通りかと。そういうので商売している人はどうしようもないかと。
だからこそワイドショーやニュースでゼロか1かみたいなことを言うコメンテーターって無責任だし害悪でしかないと思うんですよね。
そして岸田首相は以下の項目を認識しているのであれば、案外長期政権になるのかもしれません。
- 政治の潮目は一瞬で変わる。そこで運を自分で手放さぬよう常に最善を尽くす。
- 議院内閣制の国では与党内の反乱によって倒されるので常在戦場。
回顧録としては素晴らしい一冊ですし、オススメできる内容だと思います。


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