NYダウ124年間のデータから、キャピタルリターンがプラスなのは値上がり日の方が多かったから?
私はテクニカル分析的なものはカップ・ウィズ・ハンドルなどよく理解できておりませんので、基本的にはふーんって感じで流してる人間ではあります。
ただ、テクニカル分析の本って結構面白いデータが載ってることが多いので、ぼちぼち読んでたりします。
5月上旬に「株式投資のテクニカル分析補完計画」を読みました。
丁寧にExcelでの計算方法なんかも解説されてましたw
で、最初に出てきたNYダウのデータは非常に興味深かったんですね。
ダウ平均の124年の1日の株価値上がり確率は52.93%
セントルイス連邦準備銀行のウェブサイトには1896年以降のダウ平均緒データが掲載されていて、2020年末までで集計をしたそうです。
ダウ平均開始は12銘柄で、開始時からダウ平均の日々の価格を株式市場の価値の代用としてマイナスリターンになる確率を計算した結果が以下の通り。

20年で損失にに見舞われる可能性は5%以上あると結構高めに出ます。
では、日々の値上がり確率はどうかということで、取引日3万3970日の内訳は以下の通り。
- 1日の値上がり確率は52.93%。
- 1日の値下がり確率は47.07%。
- 日々のペイレシオ(勝ち日の平均利益額÷負け日の平均損失額)は1.0を下回る0.9653
- 2項分布の標準偏差は0.2730%で、1日の勝率が10標準偏差を上回っている。
- 配当なしならばダウ平均はCAGRは5.48%で長期米国債の過去100年のリターンの5%とほとんど変わらない。
株式市場がランダムウォークのようにどちらの方向にも50%の確率で向かうとすれば、このように勝ち日が3%近く上回ることはないはず。
加えて、株の債券に対する超過リターンはジョン・ボーグルの引用で配当に起因すると書かれており、配当再投資と市場にとどまることの重要性がよくわかる結果でした。
結局この結果をもってキャピタルリターンによるプラスのリターンをもたらしたのは、勝ち日が負け日よりも多かったことが原因だそうです。
10標準偏差という結果が起きえないのになぜおこるのかは景気後退の方がより厳しかったとしても景気拡大の方が長く続いているからという結論でした。
仮にバブルの最高値更新してない日本の場合どうなるかなと思いましたが、1960年代から70年代前半あたりと1980年代の好景気があるので、同じような結果になるのかもしれません。
ともあれなかなか興味深いデータや指標が載っている一冊でした。


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