「バブルの世界史」によると、ITバブルはシリコンバレーで起きたと思われがちだが、国際的な現象だった
バブル関連の本に関してはボチボチ読んでおりまして、去年読んだトーマス・オーリックの「中国経済の謎」はよかったですね。
最近、バブルの世界史という本を読みました。
金融史・経済史研究者が、世界の巨大バブルの原因・帰結を分析、バブルの普遍的な法則を明らかにした本で、代表的なバブルに関して論じています(なおアジア通貨危機などは規模が小さいと言うことで除外されています)。
で、個人的に興味を持ったのはITバブル(ドットコムバブル)に書いてあった内容で、ITバブルはシリコンバレーで起きたと思われがちだが、国際的な現象だったという点が気になりました。
ITバブルは国際的な現象だった
まずITバブルのアメリカでの背景をまとめると以下の通り。
- 1990年代に登場したCNBC、CNNフィナンシャル、ブルームバーグTVの3つチャンネルは24時間株式市場のニュースを伝え、投資商品のコマーシャルを流した。
- ダウ36000という本が出版された。
- NASDAQは2年半で時価総額の77%を失い、S&P500は合計で48%下落した。
- インターネット株は2000年2月までの2年間に1000%のリターンを 計上したが、同年末にはこの上昇分を全て失った。
じゃあこの時期に米国外の状況はどうだったかというと以下の通り。
- 1998年10月から2000年3月の間に、欧州は370%,日本は299%、アジアは330%上昇したが、2002年10月には欧州がピークから88%、日本は75%、アジアは67%下落していた。
- ドイツはニューマーケットの株式指数が96%も下落して2004年に廃止された。
- IPOが増えた、売買コストが下がった、株式取引が容易になった、時間外取引が普及したの4点が大きな影響を与えた。
結局アメリカと同様の流れがありました。
パフォーマンスをまとめると以下の通りで、欧州はアメリカ並みに激しい暴落がありました。

ただし、このバブルに関しては、マクロ経済の影響が限定的で、景気後退も8ヶ月程度で2001年通年のGDP成長率はプラスを確保しています。
要因としては以下の通り。
- 消費支出が落ちず、銀行セクターが比較的無縁だったため、
- 各国の経済的影響も限定的で、フランスは景気後退にもならず、日本も経済問題の大きさからすれば収縮の程度は軽微
- ドイツは小幅な景気後退に陥ったが、これはドイツ銀行の資産に住める株式の比率が高かったため。
結果的にこの後バブル研究が盛んになったものの、この影響で次の暴落に関しての油断を生んでしまった。というこの本に書かれた記載は重要なことを示唆していると思いますね。
で、GAFA関連暴落→今年に入って銀行関連が下がってるというのはやや気持ちの悪い流れですし、NYダウが不安定になるのも分かる気がしました。
ともあれ日経平均30000円突破で気が緩みそうな状況ですが、一寸先は闇ほどではないにしろ警戒感は持っておいて損はないかもしれないなと読んでいて思いました。


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