良いバブルと悪いバブルがある?「バブルの世界史」
5月は日本株が好調でしたが、連休明けに「バブルの世界史」という本を読みました。
個人的に気になる点をメモしていったのですが、一覧にしてみますと色々と考えさせられるんですよね。
とくにバブルの発生条件は「テクノロジーや政治という火花が付加されてバブルの十分条件となる」というのはコロナ後を考えますとちょっと怖いなと。
良いバブルと悪いバブルがある
この本のバブルの定義としては以下の3条件になります。
- バブルは市場性、通貨と信用、投機のトライアングルにテクノロジーや政治という火花が付加されてバブルの十分条件となる。
- バブルは資産価格が3年以内に100%上昇し、3年以内に最低でも50%下落したことを要件とする。
- チューリップバブルや1980年代の北欧、1990年代東南アジアは金融自由化に端を発する大規模な信用ブームがあり、バブルがはじけた後に金融危機が起きたが、株式市場のバブルが起きたのはタイだけで規模が研究対象としていないので除外。
この要素をわかりやすくしたのが以下の図になります。

2020年代になってからと言う意味でコロナ後はちょっとバブルが怖いというのはあるなぁとこの図を見たら思います。
で、この本の定義としてその後の金融危機のありなし含めて以下のバブルを取り扱っていました。

イギリスの自転車バブルなんかはその後の技術革新になり、ダンロップなど業種は変えたけどその後長らく生きながらえた企業がある例もあります。
では、金融危機に陥った例を見ますと、割とこの時期には以下の傾向がありました。
- 1920年代のバブルで設立された革新的な企業には成功を収めた企業もあったが、このバブル期に上場した企業は長期的にうまくいってない。
- 2017年にフォーチュン500入りした日本企業52社の内、1980年から1992年に設立された企業が1社もない。
- 逆境にあって希望に兆しが見えないのは、技術に起因するバブルと政治に起因するバブルの大きな違いによるものだ。
結局、いま東証上位のうち、バブル期にこけないか(リクルートのようにこけた後復活してる企業もありますが)、1993年以降上場のユニクロやらソフトバンクあたりをよく表しているかと。
このときイオンのようなバブルに乗らなかった企業がその後大きくなったのを見ますと、これが日本人の投資嫌いやらに影響も与えてるのは間違いないので、バブルの影響は金融危機以外でもあることの証左かと思いました。
ちなみに他にも以下の3点は興味深い指摘だと思いました。
- テクノロジーバブルは巨額のマネーがとくに革新的なセクターに流入するが、バブルでなければ離陸するための十分な資本を惹きつけられることができない。
- 日本は1993年から2003年の最悪期の一人当たり実質GDPは合計で9%上昇していて、2007年以降10年のイギリスの一人当たりのGDP成長率は3.6%で多くお欧州諸国はそれより悪い。
- 政治バブルでは正の外部性がはるかに少ない経済セクターにマネーが流入するため、社会全体に恩恵をもたらすわけではない。
では、バブルに関してどう捉えるべきかということで、巻末に以下の3点が指摘されていました。
- 教訓としては投資家は消防設備点検者のように振る舞うべき。
- バブルトライアングルの構成要素が揃っているかを調べ、政治的な火花・技術的な火花がないかを探す。
- 投資家には金融や経済の複雑さ以上に、社会学、技術、心理学、政治学、そして何より歴史を学ぶことが必要であり、それにより投資家のメンタルモデルが理解できる。
消防設備点検者のように振る舞うべきっていうのが一番重要かなと思いました。
日本株が好調なのはいいことですし、仮想通貨やら2018年あたりほど株式に強気でイキってる人もいないのでそこまでありませんが、常にちゃんとチェックするってことが重要かと考えます。
ともあれバブルに関して体系的に学べるよい本だと思います。


フォローする Follow @garboflash
更新情報を受け取る

- 関連記事