スコット・ギャロウェイ著「漂流アメリカ 超大国の落日と希望を100の海図で読み解け」
GAFAで一躍有名になったスコット・ギャロウェイの「漂流アメリカ 超大国の落日と希望を100の海図で読み解け」がパンローリングから出ていたので買って読みました。
かなり辛辣に文章を書くので、GAFAMやらイーロン・マスクやらボロクソに書いてることも多いのですけど、この本はあらゆる角度から考察していて、特徴的な100の数値やグラフをまとめた本になってます。
ネガティブな情報が多いものの、ポジティブな面も書かれてますし、取り上げられてることは今後米国株に投資する人ならば意識しておきたい項目が多いと感じました。
個人的に印象に残った海図
個人的に100個の海図(グラフやチャート、図)から印象に残ったものをピックアップすると以下です。
- GDPに占めるインフラ支出の割合
- 労働者によるストライキ件数と、不当労働行為に関する訴訟件数
- 時給と生産性の比較
- 株式市場に投資をしているアメリカの世帯の割合
- 企業の税引き後利益と従業員の賃金
- 連邦最低賃金と経済生産性とともに上昇していた場合の価額
- アメリカの犯罪率の認識と実態
- アメリカの大学進学に占める男性の割合
- 人種別で見た世帯の平均資産額
- 世界の外貨準備高に占める米ドルの割合と世界のGDPに占めるアメリカの割合
- GDPに占める福祉の割合
- 税制の単語数
だいたいポジティブネタが数割、残り7~8割がネガティブなネタな感じでしょうか?
あと一部は開始点ずらせば変わるのでは?というのもありましたし、2012年のデータから直近まで載ってるデータは差があるかなという気がしました。
とくに時給と生産性の比較を見てますと、どこにお金がいったのか?というくらい、生産性の伸びに賃金が追いついてません。
生産性の伸びは勝者が多く取ってるという可能性もありそうですが、この辺生産性伸ばせを声高に言う意見もどうかなと思うところではあります。
あと、アメリカの犯罪率の認識と実態やらアメリカの大学進学に占める男性の割合は思った以上に低く、前者はニュースの影響大で、後者は下がり続けてるところに大学やら幹部社員で女性枠というのはちょっと違うかなと個人的には考えます(有能ならばいいのですが・・)。
人種別で見た世帯の平均資産額はヒスパニック系、黒人が低い傾向なのはそうなるよなと思うのですが、ヒスパニック系が最近黒人よりも多い傾向は何が要因なのかは気になりました。
GDPに占める福祉の割合のグラフは他の先進国と併せて載っていますが、アメリカもそこまで低くないのが事実で、あながち出羽守ちっくな言説とは違う要素もあるのではないかと思いました。
ともあれアメリカの現状と課題が簡潔にまとまっていて、米国株に投資する人向けにはヒントも書かれてある印象でした。


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