テンプルトン卿の流儀を読んで
今回の投資関連本の読書感想は、「強気相場は悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで育ち、楽観とともに成熟し、陶酔のなかで消えてゆく」という言葉で有名なテンプルトン卿の成り立ちと投資手法について書かれた本です。
福沢桃介が2割、本田静六が1/4という給与貯蓄の比率でしたが、テンプルトン卿はなんと5割。
基本的にこの3人の共通点としては、人が騒いでいる時に投資をせず、株価が下がってみんながパニックになっている状況で買うというところでしょうか?
テンプルトン卿に関しては、それにとどまらずひたすら値切りをするなど普段の行動から価格が適正になるまでしぶとく待つということがこの本でよくわかります。
アメリカの企業にとどまらず、日本韓国中国の株価が過熱する前に目をつけて、加熱した後は暴落前に撤退させている点からも、
いかに優れた投資家であるかがわかります。
テンプルトン卿は2008年に亡くなっているわけですが、今も生きていたとしたら、中国への投資を続けているのか気になるところです。ジム・ロジャースのように肩入れする投資家ではないだけに。
本の中でいいなと思ったところを抜粋すると以下の通りでしょうか?
- 「総悲観の極みをどうやって見つけるのか?」「100人のうち99人が降参するまで待てばよい。」
- 周りに振り回されないように自分で評価をすることが大事。
- 前もって企業情報の蓄積と分析を行っておけば、企業が土砂降りに遭って株価が下落した時に断固としてその株を買うことができる。
- 5年と言う中長期的予想を用いることは容易な作業ではないが、それによって、企業の中心的な問題へと自分の思考や疑問や検討を集中させるという効果的な視点が必然的に身に付く。
- 為替リスクの高い国を避けたいと思ったら、まず第一に、輸入よりも輸出が多い国で事業の25%以上を行う企業に焦点を絞るのが良い。第二の判断材料として、その国の政府債務は年間GNPの25%を超えてはならない。
- バーゲン株候補を探し当てたときはそのミスプライスの原因を発見するために正直に努力することだ。ミスプライスの原因が短期的、一時的問題にあったとすれば株価に反映されている割安性を引き受けるだけの価値がある。
- 同業の会社を比較する場合 PEG=PER÷予想成長率=低い数値の方がバーゲン銘柄という
投資手法としてすごいのは、市場の過熱感を感じ取って、日本のバブル崩壊前に手じまいをしていることと、急落が起きるずっと前に売りの意思決定をすませていたこと。
大幅なバーゲンと感じられる価格でのみその銘柄を買うべく、極端な安値で無期限注文を出しておくという手法もすごいなと。この手法を真似するわけではありませんが、このマインドを持っていれば下落でもあたふたしないでしょう。
個人的に今回の大きな調整も、この本を事前に読んでいたため、チャンスで動くタイミングか?ということを考えて、値下がりに全く動揺しておりません。
ある意味少しでもテンプルトン卿の明鏡止水的な境地に近づきつつあるのかもしれませんw


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