千年投資の公理を読んで
一時期パンローリング社の本ばかりを買っている時期が数ヶ月前にありまして、テンプルトン卿の流儀とかモメンタムウォーカーを買ってました。
たまたま連続しておりまして、この本が連続して買ってた本の最後になります。
ドーシーはモーニングスター社の個別銘柄のリサーチ部門の責任者でした。
どのような業種、企業に「経済的な堀」があり、深いか浅いのかということを例に挙げながら解説した本です。また、投資のプロセスに至るまでの過程について解説していて非常に読みやすかったです。
個人的にはシーゲル的な考え方を持っている人にとっては、優良企業を末永く保有することというのは最重要課題となりますので、その際の判断気宇順をどうすればいいかという観点で見て、この本はためになると思いました。
また本の思想としてはウォーレンバフェットに通ずるものであり、バイ&ホールドの長期投資家が個別銘柄選択の際に基準となる項目の解説本としては有用だと考えます。
主だった項目をメモ代わりも含めて書いてみました。
- ブランド、特許、行政の認可などの無形資産を持つ企業は、ライバル企業がかなわない製品やサービスを販売できる
- 販売している製品やサービスが顧客にとって手放しがたいのものであれば、乗り換えコストが少しでも余計にかかることによって顧客離れを防ぎ、価格決定力を企業のほうに与える
- ネットワーク経済の恩恵を受ける企業(利用者増→不可価値上昇)には、長期間ライバルを閉め出すことができる強力な経済的な堀がある
- 生産過程や場所、規模、独自のアクセスなどによって製品やサービスをライバルよりも安い価格で提供できる企業にはコスト上の優位性がある
特に乗り換えコストについてはなるほどなぁと思いました。要するに乗り換えるのがめんどいということで、顧客を維持するのもまた堀であると。
他にも経済的な堀をアメリカの場合ROE15%以上という数値的なものも書いてありましたが、企業の「経済的な堀」を見極める3つのステップは手順として各国でも応用が利くのではないかと思います。
- 過去の高いROC(ROC=利益÷資本)を維持できているかどうかを見る
- 競争上の優位性(高い乗り換えコスト、ネットワーク効果、コスト競争力、無形資産)があるかを見る
- 競争上の優位性がどのくらい強力か、長期にわたって維持可能かを考える。
基本的には騎手より馬を見るという考えかなと思います。ジム・クレイマーとかは経営者も見るべきという意見ですが。
確かに菊花賞でも母父サクラバクシンオーとはいえ、バクシンオー自体はアンバーシャダイ(自身と孫メジロブライトが天皇賞春勝利)の近親ですから距離を持っておかしくないわけで・・
とりあえずは企業について見るということで、いずれ行うかもしれない個別株投資の時にも参考になるかと思いました。
最後に保有している株式を売るタイミングについて書かれてあったのですが、これはETFやインデックスファンド全般にも通じるんじゃないかと考えます。
- 自分は間違っているか。
- その企業のファンダメンタルズは悪化しているか。
- 他にもっと良い投資先があるか。
- このポジションがポートフォリオの中で大きくなりすぎていないか。
自分が常に道から逸れていっていないかを考えながら投資を続けていくことを肝に銘じなければなと思います。


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