ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉を読んで
投資の啓蒙書として非常に評価の高いウォール街のランダム・ウォーカー(著者:バートン・マルキール)という本があります。最初に発行されたのは実に40年以上前で、バンガードがインデックスファンドを生み出す前の話にもなります。
その後、バブルや暴落を経ておりますが、時代に即した形で改版が重ねられてこの度11版が先月発売となりました。
数年前に何版か忘れましたが、図書館で借りて読んでいるのですが、新版が発売されたことと、スマートベータに関する記述も追加になったということで購入して再度読んでみました。
主な変更点として第11版では、「スマートベータ」に関する内容を拡充していること。また、アメリカにおける個人向けの具体的な金融商品を詳解した「ランダム・ウォーカーのためのフィットネス・マニュアル」を追加しています。最新のデータへの改定も行われているそうです。
バブルの歴史と投資戦略の検証
大きな流れとしてこれまで起きてきた代表的なバブルが何故起こったかを詳細に説明していきます。この部分に関しては前の版でも明確に読んだ記憶があります。やはり投資を行う上で過去の歴史から教訓を学ぶことは重要であることを痛感させられますね。
また、その後の数章で投資戦略の検証ということでファンダメンタルやテクニカル的な投資戦略を斬ってます。当ブログで取り上げたことのあるレラティブ・ストレングスは売買のコストが高い、ダウの犬戦略は有効とはいえない、モメンタムも断定的なことはいえないとのことでした。
メインディッシュのスマートベータに関して
第11章はスマートベータの説明、バリュー、小型株、モメンタム、低ボラティリティ、ファンダメンタル、等金額、それらを組み合わせたものなどの戦略が検証されていました。
この一覧を見て思ったのですが、本の中でジェレミー・シーゲルの株式投資の中にある有名な株式のリターンの表が印象されているにもかかわらず、どういうわけかスマートベータの中に高配当ってカテゴリがないです。高配当に関しても検証してほしかったのですが、意図的に外したのかアメリカだとスマートベータに定義されていないのかはよくわかりませんでした。
スマートベータのファンドやETFは超過リターンを生んでいるとは言いがたいので、投資するならば、時価総額加重平均の小型株ETFを少しやるのを推奨していました。日本でこのパターンのETFってあったかな?
財産の健康管理のための10箇条とライフサイクル投資戦略
10個ほど上げられておりますが、アメリカとの制度の違いがあるとはいえ、特に以下が個人的には特に重要だと思いましたね。
- 第1条 元手を蓄えよ
- 第2条 現金と保険で万日に備えよ
- 第4条 節税対策と年金制度の活用
- 第7条 債券市場に注目
- 第9条 投資にかかるコストに目を配る
- 第10条 分散投資が大原則
後は、14章にライフサイクルと投資戦略ということで年齢層別に株式や債券、現金の比率のグラフが載っています。意外だったのは不動産の割合が60台になって比率が30代と比較して5%上がっていることですね。とはいえ、ポートフォリオを組む上で参考にはなります。
アメリカだとREITが有効ってことなのかなと思いましたので、IYRあたりをちょこっと買ってポートフォリオにいれてもいいのかもしれません。
つまるところ若い人はインデックスファンドとETFで資産を積み上げていくべし!
この本の帯に書かれてあるように「本の第一版が出てから40年以上経っていますが、個人投資家にとってはインデックスファンドを買ってじっと待っている方がはるかによい結果を生む」というのは間違いないかなと。
そういう意味でライフサイクル別の投資戦略で各年代の推奨ポートフォリオが載っていましたが、20代や30代の我々と年齢の近い人間は愚直に余ったお金を投資に使い資産を積上げていくことこそが重要であると考えます。
年金が損をしたとすぐ騒ぐ議員やマスコミは無視して、老若男女投資の啓蒙書として読むべき本だと思います。
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