原油価格の変動のメカニズムを学ぶ。原油暴落の謎を解くを読んで
年明けから円高が進みましたのでガソリン価格が左程変動していないように思われます。WTI原油先物価格に連動するETFであるUSOの現状を見てみますと・・
直近5年でこの急降下。一応年明けの頃からは価格が上昇していますが、ここにきてまた下がってきています。
レギュラーガソリンを入れるときにリッターあたりの価格というのは親の車がガソリンスタンドに入った時などで、中学生ぐらいから何故か意識しておりまして、100円切ってた時期もありましたし、鹿児島→宮崎の旅行で、日南でガソリン入れようとしたら180円台だったという経験もあります。
缶ジュースの値段見る限り物価の上昇もあるのでしょうけど、それにしてもガソリン価格は何故ここまで変動するのでしょうか?
石油の埋蔵量に関する本の記事:石油の「埋蔵量」は誰が決めるのかを読んで
石油の「埋蔵量」は誰がきめるのかの作者である岩瀬昇氏が昨今の原油暴落について書いた本が出ておりましたのでamazonでぽちって読んでみました。
要点をまとめると以下の通り
- 過去に言われていた石油の枯渇はなさそう。
- 価格に変動をもたらした要因の振り返り
- 石油・ガス業界における米国の特殊要因(過去の地質地形のデータの蓄積)
- 従来は中東から欧米へと大きく流れていた石油が、将来はアメリカからアジアへ流れるようになる。
- ヤマニ元サウジ石油大臣「『石器時代は、石が無くなったから終わったのではない』・・・石油時代は新技術の登場によって終わる」
- OPECは一時的、短期的な変化への市場安定化能力は維持するが、変化が構造的なものかどうかを判断することが重要
中東に滞在経験のある著者がかいた石油価格の変動とその要因や、石油価格がいかにして決まっていくのか?中東諸国の原油の種類の違い等書かれていて石油の歴史と価格、種別学べて前作同様個人的な評価は高いです。
シェール革命が何故アメリカで起こり、今後石油全体で占める割合はどうなのか?他国でも同様にできるのか?という点に関する分析は特にインパクトが大きかったですね。思っていた以上にアメリカだからこそできた側面が強く、今後アメリカの優位性は高まるのではないかと思えましたね。
石油価格の変動をもたらした要因の振り返りは同じ状況が今後も再現される可能性があると思います。この事例を学ぶことによって米国株をやる人なんかは参考になる情報だと思います。
国としての10年後、20年後のエネルギー政策を策定すべし
「石油の「埋蔵量」は誰がきめるのか」でも書かれていましたが、この本を読んで思うことは長期にわたるエネルギー政策の策定が必要だと思いました。
こう書きますと原発がー太陽光がー風力がーと極端なことを言う人がいますが、個人的な意見としてはポートフォリオ的にバランスよくどの技術も開発して他国に輸出できるぐらいのものを作り上げてほしいですし、原発に関しても原発事故起こしたからこそ作れる技術があるんじゃないの?と思います。
あとがきにかかれてある、原油価格が40ドル台とかの今こそ海外から原油を集めて備蓄するタイミングであるというのは大賛成ですし、天然ガスの備蓄に関しても現時点では技術的に難しいと言われているけど開発すべきという意見も賛成です。
特に南シナ海が今後大きく揉めそうな現状では、エネルギーの備蓄は考えておいて損はないでしょう。また、今後中東からの輸入に何かしらの問題が発生した場合を考慮して、トランプが大統領になるならないにも関わらず、アメリカとの関係を維持していくことは必要だと思います。
資源を持たない国だからこそ関連技術の開発と、エネルギー戦略を多角的且つグローバルに考えていくべきです。


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